2019年12月14日土曜日

2019年度 第11回ワークショップ開催

2019年度 第11回「プログラミングの基本を学ぶワークショップ」が、はこだてみらい館のシアターで開催されました。(2019/12/14)
今回はスペシャルゲストに、『Why!? プログラミング』の監修をされている、阿部先生(青山学院大学)をお迎えして、スペシャルバージョンのワークショップを開催しました。
ファシリテーターは、初回体験コースをはらでぃ(原田先生)、表現コースとデバイス体験ラボは合同で阿部先生とちゃーりー(飯塚くん)が担当しました。

○阿部先生の紹介
ワークショップのはじめに、今回のスペシャルゲストである阿部先生の紹介をしました。阿部先生は、NHK Eテレで放送されている『Why!? プログラミング』の監修をされていて、年1回行われる「Why!?プログラミングフェスティバル」には人形での出演もされています。Scratchに関する書籍も多数出版されています。

◎表現コース・デバイス体験ラボ
今回は表現コースとデバイス体験ラボが合同でmicro:bitとScratchをつなげた表現にチャレンジします。

○テーマの説明
まずはいつものようにテーマを発表します。今回のテーマは「しる」です。
ちゃーりーが参加者に「しる」から連想されるものを尋ねると「味噌汁」「何かを知る」などの答えが返ってきました。

○サンプル紹介
次にちゃーりーが作ってきた「しる」をテーマにした作品を紹介しました。今回はmicro:bitを使ったサンプルを用意しました。以下の写真で、ちゃーりーが手に持っているのがmicro:bitです。
サンプル1:万歩計
歩いた歩数をカウントして「知る」ことができるプログラムです。micro:bitの加速度センサを使って1歩をカウントします。micro:bitの加速度センサを使えば、傾きや動きの変化量を調べることができます。
サンプル2:向きに合わせて回転する地図
micro:bitが向いている向きに対応して地図が回転するプログラムです。micro:bitでもカーナビや地図アプリのような表現ができます。micro:bitの向きを調べるためには、地磁気センサを使用しました。

今回紹介したサンプルのように、micro:bitは現実世界の情報とコンピュータを結びつける表現も得意です。

○micro:bitの説明
ここからは阿部先生が引き継いでの進行です。
デバイス体験ラボに参加したことのある皆さんにはおなじみのmicro:bitですが、初めて使う参加者もいたので、micro:bitとScratchを連携させたプログラムの基本を全員で一緒に体験していきました。
Scratchにmicro:bitが接続できないトラブル(Scratch Linkの接続不安定)が1テーブルだけ起きてしまいました。そのため、このテーブルについて5名だけは、micro:bitのみの表現にチャレンジしてもらうことになりました。micro:bitのような外部機器をコンピュータに接続する際は、今回のようなトラブルがつきものです。このようなトラブルが起きる原因や対応策を知っておくことも、情報機器を使っていく上で重要なことですね。
この参加者は、魚が水中を自由に泳ぐプログラムを作りました。micro:bitを傾けた方向にキャラクターが進み、Aボタン・Bボタンで水中をライトで照らします。この作品は、micro:bitをコントローラーとしてうまく使って、直感的な操作ができるように工夫していました。
この作品では、micro:bitを上下に振ると画面上の炭酸ジュースも振られ、制限時間内に振った回数に応じてジュースが吹き上がります。日常の一場面をヒントに、自分の体の動きをコンピュータに伝える表現に挑戦してくれました。micro:bitを使えば、新しいゲームの操作方法がつくれるかもしれませんね。
Scratchとmicro:bitがうまく接続できす、micro:bitのみの表現に挑戦してくれた参加者は、micro:bit上の5×5のLEDをうまく使って作品を作ってくれました。この作品は、画面に表示された通りにmicro:bitを操作すると次の指示が出るようにプログラムされています。全ての指示通りに正しく操作できるとクリアできます。からくり箱を開けるような体験をmicro:bitのみで作ってくれました。

◎初回体験コース
今回は「初回体験コース」メンバーは少なめ。なので、いつもよりゆっくり、じっくり活動を進めました。初回体験コースでは毎回『Why!? プログラミング』の番組紹介も積極的に行なっています。それは、ワークショップ後も自宅でプログラミング活動を続けて欲しいからです。今回はリアル阿部先生が自分たちのすぐ横でワークショップをしている、ということで、子どもたちの気持ちも盛り上がったはずです。

◎成果発表会
ワークショップ終盤の30分はいつものように成果発表会をしました。今回は、みなさんmicro:bitを使った作品を作ってくれたので、画面の表現だけでなく、操作方法などmicro:bitを使った表現の部分についても説明してもらいました。

◎振り返り
最後に振り返りをしてワークショップは終了です。
次回(明日)も阿部先生をお迎えしたスペシャルバージョンのワークショップです。お楽しみに!

【ちゃーりーからのコメント】
今回は阿部先生をゲストにお招きし、表現コース・デバイス体験ラボ共にmicro:bitを使った作品制作を行いました。テーマは「しる」。micro:bitの状態をセンサーの値から「知る」という意図で設定したテーマでしたが、「知る」以外に「味噌汁」「豚汁」と色々なしるが表現されました。

さて、今回サンプルは二つ。一つ目は「万歩計」で自分自身がどれだけの歩数を歩いてきたのかを「知る」という作品です。micro:bitをポケットに入れている間、歩数をカウントします。また、micro:bitの操作だけで歩数を確認したり、歩数をリセットしたりできます。micro:bitで万歩計を作ろうとすると実は結構難しかったりします。動きは加速度センサーから読み取ることができますが、センサーのそのままの値だと重力の影響やほんのわずかなブレが直接反映されてしまいます。そこで、取得した値を加工して使います。さらに、歩いたことを検出するのにもコツがいります。一歩を検出するためにはセンサーの値をしばらく保存して前後の値と比較しなければなりません。

二つ目のサンプルは「map」で、自分が向いている方位を「知る」という作品です。表示されたマップは実はただの画像で、はこだてみらい館を中心とした地図の画像になっています。この地図を、micro:bitで取得した方位センサーの値を元に回転させます。

表現コース、デバイス体験ラボの自由制作では、micro:bitをコントローラーとして使い、Scratchを操作するゲームや、micro:bitで検知できる動作と画面内をリンクさせた作品がたくさん作られました。「味噌汁」を題材にしたゲームや傾きでキャラクターを操作するゲーム、micro:bitを振ると画面内の炭酸が振られるアニメーションや、外の明るさと画面の中の明るさが一致する仕掛けなど、参加者の作品はちゃーりーにとってもとても参考になるものばかりでした。

また、今回Scratchとmicro:bitの接続が上手くいかなかったテーブルの参加者達も意欲的で面白い作品を作っていました。小さなLEDパネルに複雑な計算結果を表示させたり、秘密箱のように一定の操作をすると暗号が表示されるパズルを作ったり、Scratchではみられないような工夫にたくさん出会うことができました。

micro:bitに搭載されたセンサーはほとんどのスマートフォンにも搭載され、日常的に触れることは多くなっています。しかし、それらのセンサーを自分の手で操作し、値に直接触れられる機会はそう多くありません。micro:bitを通して、そんな身の回りの道具の仕組みに少しでも気づけたのなら幸いです。